第23回日本トラウマティック・ストレス学会(The 23rd Japanese Society for Traumatic Stress Studies)

学会奨励賞発表

JSTSS23 ポスター賞

 第23回日本トラウマティック・ストレス学会のポスター演題は、プログラム委員の中の5人の審査員によって、審査が行われました。選考方法としては、1. 独自性、2. 論理・客観性、3. 学術的意義、4. ポスター表現について5段階評価を行い、その合計点と審査員による講評をもとに、は最優秀賞と優秀賞が選ばれました。
 今大会では26題のポスター発表があり,当日は活発な討論が行われました。いずれの演題でもそれぞれの臨床的問題意識に根ざした実証的な発表であり,今回で23回を迎える本学会の成熟を十分にうかがわせるものでした。
 今回は大規模サンプルによる量的な研究が最優秀賞,優秀賞を占めましたが,質的方法に基づいた優秀な研究も多く見られたことを付記しておきます。

最優秀賞

P19
浅野 孝太朗(防衛医科大学校 精神科学講座)
陸上自衛官における精神疾患に対するスティグマと援助希求態度

< 講評 >
 自衛官の大規模サンプル(N=4,754)によって,精神疾患へのスティグマと援助希求態度との関連を実証的に示したものです。本研究の結果は,惨事ストレス受傷に対する潜在リスクの高い集団において,精神医学的ケアへの抵抗を軽減し精神医学的ケアへのアクセス性を増大させる方策の立案にあたり,非常に有効なデータであると高く評価できます。今後の研究の発展が期待されるところです。

優秀賞

P7
金森 由晃(東京大学 医学系研究科 健康科学・看護学専攻 精神看護学分野)
子ども期逆境体験と意図しない妊娠との関連の検討:横断研究

< 講評 >
 子ども期逆境体験(ACEs)が後年の意図しない妊娠を増大させることを,大規模サンプル(N=5,409)で実証した研究です。ACEsを含む人生早期の体験がその人の成長後の健康や行動に長期にわたって重大な影響を及ぼし続けることが実証的に示されたことの意義は大きく,今後様々な場面での予防的ケアまたはケアへの早期導入に大きく資するものであると考えました。

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