大会長挨拶
第23回日本トラウマティック・ストレス学会
大会長 大阪教育大学 岩切 昌宏
この度、第23回日本トラウマティック・ストレス学会は、「トラウマインフォームド・アプローチ~概念の広がりと今後の展望~」というテーマで開催します。トラウマインフォームドという言葉が、だいぶん使われるようになりました。トラウマの理解に基づくという意味ですが、トラウマインフォームド・ケア、トラウマインフォームド・アプローチ、トラウマインフォームドな対応、トラウマインフォームド・システムの構築など。本も色々出版されています。大きな災害でなくても、身近なところでトラウマによる影響がもたらされていて、それを知らないでいると、例えばある人に対して誤解したり排除したりしてしまい、二次被害を与えてしまっているかもしれません。
トラウマインフォームドの概念は、公衆衛生的な考え方でもあり、トラウマを抱えている人だけではなく、トラウマを抱えていない人にも適応できる「人にやさしい社会」を目指すものになっています。トラウマインフォームド・ケアの概念をまとめた EK.Hopper(2010)は、「トラウマインフォームド・ケアとは、トラウマの影響を理解し、それに対応するためのストレングスを基盤にした枠組みである。トラウマインフォームド・ケアでは、支援者とサバイバー双方の身体面・心理面・感情面の安全が重視され、サバイバーがコントロール感を取り戻しエンパワーされる機会を提供するものである」としています。今回の学会では、トラウマインフォームド・アプローチと称して、より身近にあるトラウマに対するアプローチを中心に、今後の展望を探っていこうと考えています。夏の暑い盛りの京都での開催ですが、ふるってのご参加をお持ちしています。